資源が枯渇する心配がなく環境に優しいとされている太陽光発電は、世界的にブームを巻き起こしました。しかし、最近は売電価格が低下しており、ブームは過ぎ去ったのではないかと不安の声もあります。本当に太陽光発電のブームは過ぎ去ったのか、今後の動向についてご紹介しましょう。
太陽光発電の売電価格が低下した理由
売電価格が値下がりした理由の1つが、太陽光発電が全国的に普及していることでしょう。今はFIT法により売電価格が決定されていますが、この制度が制定された2012年はまだ普及が進んでいました。なので、普及させるために1kWhあたり40円を上回る価格で買取されていたこともあったのです。
2018年の価格は1kWhあたり18円となっており、全量買取が開始されてからの6年間で22円も値下がりしています。
売電価格が下がっても市場が縮小しない3つの理由
太陽光発電の売電価格は2019年以降も下がると予想されていますが、価格低下が太陽光発電市場を縮小する要因に必ずしもつながるわけではないようです。
①FIT法の改正
2017年4月にFIT法が改正されました。
この改正では旧法時代に認可を受けたが、ほとんど発電を行っていない事業者に対して、買収期間が短くなるようになりました。つまり、今まで電気を高額で売る権利を持つ事業者に対して、その権利がなくなってしまうことから太陽光発電の正常化を図ることができます。風通しが良くなれば新規参入者も増えやすくなるので、市場が低迷につながらないというわけです。
②ZEHの普及
ZEHとは「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」のことで、政府が推進する政策です。2020年までに家庭内の電力を家庭内でつくる住宅を新築住宅の標準にすることを目的にしています。ZEHの実現条件は以下の3つです。
- 断熱性能の向上
- 省エネを考えてHEMSや省エネ家電の導入
- 電力発電を中心に再生可能エネルギー発電システムの導入
政策が予定どおりに進めば2020年までの新築には太陽光発電が搭載されることになるわけなので、太陽光発電のニーズは拡大し、価格争いで設備コストの減少にも関係すると予想されています。
③パリ協定
パリ協定は地球温暖化を抑えるために、国々が温室効果ガスの排出量を抑えることを目的にしている協定で、日本も参加しています。太陽光発電など再生可能エネルギーは二酸化酸素などを排出しないエネルギーであるため、パリ協定とも深い関わりがあると考えられ、地球温暖化の抑制に欠かせないシステムと言えるでしょう。
まとめ
FIT法により売電価格は値下がりしているものの、FIT法の改正やZEHの推進、パリ協定の影響から太陽光発電の需要はますます高まるとされています。改正FIT法では売電の入札制度も導入されており、2018年には2次保証金の没収条件も緩和されているので、入札制度に参加しやすくなっており、FIT法での売電価格よりも高値で売れる可能性があるでしょう。
日本は太陽光発電をはじめ、再生可能エネルギー発電の普及・拡大を推奨しているので、ブームはまだ続くと考えられます。
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