省エネ法は今後の省エネ対策の根幹となる法律であり、日本のエネルギーのあり方を進めていく上で必要不可欠な存在となっています。これまで日本は非常にたくさんの省エネに関する取り組みが行われてきましたが、2030年度のエネルギー需要に向けてさらなる省エネ対策が求められています。ここで、一度省エネ法が制定されたきっかけや、現在重要視されているエネルギー需要の見通しについて学んでいきましょう。
省エネ法が制定されたきっかけ
日本は1973年と1979年の2回に渡り、オイルショックに見舞われました。このオイルショックによって化石資源を確保できなくなり、ほとんどの消費エネルギーを海外からの石油供給で補ってきました。それをきっかけにエネルギー効率を高めるために制定されたのが省エネ法です。
省エネ法には「エネルギーの使用の合理化等に関する法律」という正式な呼び名があり、エネルギーを使用する事業者に対してエネルギーをどのくらい使っているのか状況や結果を報告する規制を作りました。さらに2011年に起こった東日本大震災の影響により「電気の需要の平準化」を取り組む内容も改正されました。電気の需給逼迫に応じるためにピークカットやピークシフトなどを促す取り組みが実施されています。
今後求められるエネルギー需要とは
日本はこれまで省エネ法が制定されてから、長年に渡ってエネルギーの需要に対する見通しを立ててきました。1年間に1.7%もの経済成長を遂げたことを基準に2013年に法改正し、2030年までのエネルギー需要の進捗を予想したのです。ここでは対策前と比較し原油換算で5030万キロリットル削減するという見通しを立てた上で、実現するための取り組みが行われています。
さらにエネルギー消費効率を約35%改善する課題もあるのですが、これはオイルショック後の20年間分水準に匹敵するレベルの省エネ対策が必要になります。現在でもかなりハードルの高い省エネが進んでいるのに対し、それよりもっと効率的な対策を講じることは厳しいかもしれません。
しかし、このような高い見通しを現実化するために産業・業務・運輸・家庭という4つの部門それぞれに対策をとることに踏み切りました。産業・業務部門においてはすでにLEDの導入が加速していますが、投資を行うための省エネ設備の導入は間に合っていません。運輸部門では自動車の燃費を向上させたことによって旅客輸送分野の省エネは進んでいるものの、宅配貨物や輸送量が増えることが予測されているので取り組みを強化させていくといった課題が取り残されているようです。
オイルショックを機に日本は省エネ法を制定し取り組みを続けてきましたが、時代の変化に合わせて今後は手法を変えながら対応していく必要があります。省エネ対策は現在4部門に分けて取り組んでいますが、エネルギー消費量が増加している業務・家庭部門のエネルギー使用量については再び法を改正してさらなる省エネ対策を考案させていくことが急務となるでしょう。
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